会社などで、何か新しい事業・新しい製品を立ち上げる、というミッションに就いている方もいらっしゃるかと思います。おそらく、なかなかうまくいかずに悩んでいるのではないでしょうか。今回ご紹介するのは、企業内で新規事業の立ち上げがうまくいかずにお悩みの方に向けた本です。その名もずばり、「新規事業がうまくいかない理由」。(このタイトルで、つい、買ってしまいました。本のタイトルって大事ですね。)
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この本を読んでいろいろな気付きを得られましたが、そのうちの2つをご紹介します。1つ目は、企業内での新規事業の立ち上げは成功確率が低い、ということ。本書ではベンチャーとの比較で説明しています。ヒト、モノ、カネでは有利なはずの企業内起業に足りないもの、それは「モチベーション」と「ハングリー精神」である、と述べています。この2つをアップさせられれば良いのですが、それはなかなか難しいので、モチベーションやハングリー精神が足りなくても済む戦い方を考えるのが良いようです。確かに、会社勤めを選択した時点で、ハングリー精神が高いとは言い難いですね。会社でも、起業マインドが高い人がたまにいますが、そういう人が社外に流出してしまわないような人事評価方法も必要かな、とも思いました。
2つ目は、うまく立ち上がらなかった時の撤退のルールを決めておく必要がある、ということ。撤退ルールを決めておくことによって、どこまで投資したらよいかが明確になるため、資金を投入しやすくなります。最悪なのは、資金を減らしてずるずる続けること。カネがないため業績改善の可能性も減り、投資が無駄遣いになってしまいます。
撤退ルールと併せて、もし新規事業がうまくいかなかったとしても、ルールに従って撤退したのであればマイナス評価にしない、ということを最初に決めることもポイントのようです。
この本には、企業内での新規事業がうまくいかない理由、新規事業の成功確率を高くするための方法・考え方、そして、新規事業立ち上げ事例について書かれています。新規事業立ち上げ事例として、著者である坂本桂一氏が興した事業の話も紹介されています。ちょっと思いつかないような(私にとっては)意外なことをしている例もありますが、本書にも書かれているように、成功確率を上げるために徹底的に考え抜いたからこそ、妙手を思いつくことができたのかなと思います。
本書で述べられている新規事業の立ち上げプロセスは、まず新規事業を始める目的を決めて、新規事業として何をやるか決め、それからビジネスプランを策定する、という流れになります。Why、What、Howの順ですね。皆様が知りたいのは、「どうしたら新規事業がうまくいくのか」のHowの部分かと思いますが、詳しくは本書をお読みいただくのが良いと思います。しかし、「なぜやるか」「何をやるか」の方が先(重要)なのだと、この本を読んで私は思いました。
本書は2008年発行と、かれこれ10年ほど前の本にはなりますが、考え方は今でも通用するのではないかと思います。新規事業立ち上げでお悩みでしたら、一度目を通してみてはいかがでしょうか。
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